「正確に伝え、正確に理解する。」が、
設計者に求められるコミュニケーション能力です。
所属:エネルギー統括本部 東京事業本部 エネルギープラント設計Gr
略歴:2019年11月中途入社
・入社後原子力設備の配管設計業務に従事
・部下10名(多いときは20名)ほどのチームをまとめるリーダーを担う
Oさん

業務:普段どのような業務を行っていますか?
原子力施設内に配管を通すための計画設計が主な業務で、顧客の提示する条件や要求を把握した上で、3DCADを基にどこに配管を通すか計画を立て、配管のルート計画が固まり次第、図面を作成します。その後、作成した図面に基づき施工が開始されます。そのままスムーズに施工が完了することもありますが、現場での予期せぬトラブルなどで、設計の修正が発生する場合も多々あります。施工が無事完了するまで見届けることも設計の役割の一つです。

業務はどのような体制で進んでいきますか?
案件ごとに体制は異なるので、一概には言えませんが、物量が多いときには20人ほどのチームで作業を進めます。そういう大きな案件の場合、数百m~数Km規模のとても長い配管を配置する計画を行う事もあります。今も10人程度のチームのリーダーとしてプロジェクトを進めていますが、作業を分担し、合理的に業務を進めていくことも自分の役割です。
設計において気を付けていることは?
顧客の要求や規格基準に従うことは前提ですが、施工しやすくなることを意識して設計をすることは、後戻り作業をなくすためにもとても重要な要素です。自分としても今後、工事作業の手順や感覚を深く理解する様努めることで、設計においてより適切な判断が出来る様になりたいと思っています。その他、意外かもしれませんが、美観を意識して設計することもとても大事です。どのように配管を通せば、景観を損なわずに済むか、設計者のセンスが問われる瞬間でもあります。
出張はありますか?
実際に現場を見てみないと計画が難しい場合や、顧客要求に応じて出張する場合があります。
また、無事図面が完成したとしても、設計の仕事はそれで終わりではありません。問題なく工事が終了するまでは、設計の作業は続きます。現場からのリアルタイムの要求に対応するため、工事が完了するまで現場に滞在するのも設計の大切な仕事です。
初めての出張に戸惑いを持つ人もいるかと思います。出張先での過ごし方はどうされていますか?
僕が滞在したサイトは豪雪地帯で、茨城での生活とは異なり非日常的な感覚があり、かえって楽しみながら生活していました。出張期間は、ホテル暮らしですので、インドアな人や環境に適応し楽しみを見つけられる人であれば苦はないと思います。先輩や同僚たちの中には、休日は観光や冬にはスキー・スノーボードを楽しむ人もいますし、自分の場合は、好きなゲームを楽しんだり、休日はよく散歩をして過ごしています。海鮮系などご当地の美味しい物を食す楽しみもありました。冬の青森は大変ではありますが、雪景色はとてもきれいです。でも、何よりも自分の計画した配管が据付けられていく経過を実際に現場で見られることが、出張時の一番の喜びです。
エンジニアリングはチームワークも大事ですが、コミュニケーションで気をつけるポイントはありますか。
「自分の伝えたいことを正確に伝えようと努める」「相手の話を正確に理解しようと努める」この両方の姿勢が設計者に求められるコミュニケーション能力だと思います。お互いに齟齬がある状態で進んでしまったことで、取り返しのつかないミスが起きることもあります。それを防ぐためにも正確性を意識したコミュニケーションを取って欲しいと思います。ただ、最初からそれらの能力が身についている必要はありません。自分自身も、先輩や上司・顧客がどのように説明しているか、その一つ一つを吸収することで、段々と出来る様になってきました。まずは、上手い人の真似をするところから始めていけばいいと思います。
設計者として求められる姿勢はありますか。
原子力施設の配管は、様々な規格基準・法令に基づいて設計されています。根底にある規格基準・法令を理解することで、設計の際、より正しい判断が出来る様になります。全てを理解している必要はありませんが、業務を通じて、一つ一つ勉強して知識を深めていくことを楽しめるような、知的好奇心を持つ事が、成長のカギだと感じます。また、ざっくりとでいいので、作業の流れを意識出来る様になれるといいですね。特に、今の仕事が全体の作業のどこにあたるのか、前後の作業は何か、作業の目的を含めて常に意識できることが必要です。新人の方であれば、まず設計のワークフロー図を手元において、自分の作業がワークフローのどこにあたるのかを常に確認するところから始めるといいと思います。
仕事のやりがいとは何ですか?
この世に長く残り続けるものを作る楽しさですね。複雑に分岐した配管や時には地下2階から地上1階までの3階層を通すような配管を計画することもあります。また、施工中に設計修正を余儀なくされ、使える資材が限られるなどいくつもの制限がある中で、最善のアイディアを模索し提案できた時も、まるでパズルを解くような爽快感を味わえます。何よりも、その苦労の中設計した配管が現場に据付けられていく段階は、頭で考えたものが現実になる瞬間であり、言葉で言い表せない喜びがあります。
後輩に指導する立場とうかがいましたが、後輩と接する際に、ふだんから心掛けている事はありますか?
自分の意見をどんどん出しながらも、設計の目的を見失わず、きちんと相手の言い分を聞き、相手側の意見に納得出来たら潔く自身の意見を修正できる、そんな柔軟な人間になってほしいとの思いで、後輩を指導しています。
とくに心掛けている点は、設計を進めていく上で判断をした理由を必ず聞く事です。判断が正しいか間違っているかは別として、後輩がどう考えてその判断をしたのか確かめてから指導する様に心がけています。
プライベートの過ごし方は?
本は色々と読みますが、漫画が好きで特に好んで読んでいます。最近のおすすめは、「ブルーロック」と「ドクターストーン」です。高校までサッカーをしていたこともあってか、「ブルーロック」を愛読しています。「ドクターストーン」は、理工系の話が奥深くて最近特にはまっています。また、目的地を決めずに散歩をするのが好きです。何も考えず、景色を眺めながら気が済むまで歩き続けます。時には、落ちている枝を倒して、倒れた方向に歩みを進めることもあります(笑)そうやって休日を過ごすことで、自分の気持ちをリセットしています。あと、一緒に暮らしている犬と散歩に行くのも休日の癒しですね。
就活生へのメッセージ
自発的に考えて行動することは、一定のストレスがかかるのが当然であり、それを避けることはできません。だからと言って、何も考えずに言われたことだけをやる日々では、自分の中に何も残りません。毎日毎日の取組みがきちんと自分の糧として残るように、自分の頭で考えて行動することを心掛けて頑張ってください。そうすれば、自分の行動に対して言い訳を言うこともきっと、なくなりますから。
